病気というのは、非常に厄介なものだ。
自覚症状に肉体的な苦しみを感じ、精神的にも参らせる。
毎日飲む薬、定期的に行かなければならない病院。
せっかく稼いだお金が医療費に消えていく。
そのたびに、「自分は何のために生きてるんだろう?」と自問する。
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今年9月下旬から感じ始めた子宮の”違和感”は、先日「子宮腺筋症」という名前の付けられた”病気”へと昇格した。
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月経が始まったときからずっと生理不順で、血が止まらずに貧血、ピルの服用、重くなる生理痛に苦しんできた。
大学進学を機に上京して環境の変化にストレスがかかったのか、体質的な低体重も重なって、閉経が2年も続いたこともある。
女性である自分の体の未来にうすいモヤがかかっていく。
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内診や超音波診断も年に1回はしていた。
今までは何も言われなかった。
「体質だね」と何度も言われ、突き放されてきた。
27歳になろうとしている今、「さあこれから」と思っていた矢先にこれかあ。
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「子宮腺筋症」は、子宮の内側にできるはずの内膜組織が、子宮の筋肉の中にできてしまう病気。
腫瘍のようにそこだけがコブのように腫れるのではなくて、子宮自体が腫れていくらしい。
だから閉経まで、子宮が動き続ける限り悪化していく。
部分手術は再発することがほとんどで、完治はできない。
コブを取る手術はできないから、するなら子宮の全摘出。
子どもを望むなら今すぐ妊娠。でも出産したらまた症状は悪化していく。
そして、高確率で不妊治療が必要。子どもを望んでも授かるかどうかは一般的な人と同様にわからない。
その間も悪化が進む症状。
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正直、「こんな人生ありかよ」と思った。
辛い思いしてる人は世の中にたくさんいる、そんなのはわかってる。
同じような病気になってる人は意外と多いと聞く。
そんな中悲劇に浸って「かわいそうなわたし」で居続けようなんて、そこまで馬鹿じゃない。
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でも、どうしても一度では受け止められない。
受け止める器が27歳にもなってわたしにはまだなかった。
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家で一人になるには心細すぎてわざと遠回りして散歩をしていた時、ふとこんなことを思った。
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病気がわたしに”人生の道”を教えてくれているんじゃないか?
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「そっちじゃないよ。君の道はこっちだ。」
「君がやりたかったことは、これだろ?」
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病気になり行動が制限されることで、自分の人生について考える時間ができる。
なんとなくやってるバイト、なんとなく過ごしている時間、なんとなくの人生を強制的に終わらせられる感覚。
考えすぎて動けなくなるわたしの背中を「今ためらってる場合じゃない」と強く蹴とばす存在。
今までたくさんの病にかかってきたけれど、もしかしたらそうやって自分が自分に自分の人生の方向を教えてるんじゃないだろうか?
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本当に大切なことはなにか。
本当に大切にしたいものはなにか。
本当は行きたい場所、本当は言いたい言葉、本当はやりたいあれやこれ。
もう自分にウソをつくのは辞めたら?
もう自分をごまかして過ごしていくのは辞めたら?
「いつかいつか」って、いつまで人生続くと思ってんの?
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そうやって厳しい言葉を体で表してくれてるんじゃないだろうか?
それならば、わたしは幸せ者かもしれないなあ。と。
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さあ、これからどうしようか。
来週27歳。その日に医者の方針を改めて聞きに行く。
新しい人生が始まる音がする。
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2020.11.06 Fri