あの夏、俺のところに召集令状が来た。

その他

「あの夏、俺のところに召集令状が来た。俺はその紙を持って千葉(実家)から上野に向かったんだ。」

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いつしか言われた祖父の言葉。

幼心に大切な話だとわかったのをぼんやりと覚えている。

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今日、8月9日。

日本人にとって8月6日と今日の日付、そして15日にかけて、毎年この時期はいろいろと考えさせられる。

わたしも例外なくその一人だ。

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1945年の夏のはじめ、弱冠20歳だった祖父は千葉の田舎から東京上野に向かったらしい。

上野から汽車に乗り、遠く軍の施設に行くためだった。

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祖父は農家の四男坊。

「いよいよ来たか!」と思っていた、と話していた。

上野駅に到着し、目的地までの汽車を待つ。

その時、駅の構内で知らせが鳴った。

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「汽車不具合の為運休」

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どうやら汽車の調子が悪く動かないらしい。

しばらくそこで足止めとなった。

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そして8月15日。

青年は戦場に行くことなく、戦いは終わった。

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たぶんこの話を聞いたのは、小学校低学年の時。

なにやら難しい話をしているなあと思いながらも、大事そうな話に耳を傾けていたのだろう。

上の言葉とシーンだけ、今でも鮮明に覚えているのだ。

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もし、あの時おじいちゃんを乗せる汽車が普通に動いていたら…

もし、召集令状がもっと早くおじいちゃんの手元に届いていたら…

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考えただけで心がぎゅうっと苦しくなって、生かされていることを生々しく実感する。

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今朝、朝ご飯を食べながら急にそのことを思い出した。

口にパンが入った状態で、思わずどこかに向けて手を合わせた。

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おじいちゃん、あの時生きててくれてありがとう。

おばあちゃん、あの時生きててくれてありがとう。

お父さんお母さん、出会ってくれてありがとう。

おじいちゃん達よりも先の人たち。本当にありがとう。

皆さんのおかげでわたしは生まれてこれて、自由に暮らしています。

本当にありがとう。

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そして、このことを忘れたくなくて、1か月ぶりにブログを書いています。

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2020.08.09 Sun

 

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