「好き嫌いをしてはいけません」。
物心ついた時から今まで、きっと誰もが聞いたことのある言葉。
食べ物、人間関係、勉強科目…すべて「好き嫌いしない」ことが正義だと、きっと多くの人が疑わずに生きてきたことだろう。
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仕事もある意味「好き嫌いをしない」ことが優先されてきたように感じる。
新卒で入った会社に長く勤め、約40年間同じ組織の中で働くことが良しとされてきた。
会社には自分とは合わない人がいるのは当たり前で、好きじゃない仕事があるのも当たり前。そういうのも含めて我慢しながら働く。
間違いなく、「好き嫌いをしない」ことが長く生き残るコツだったのだ。
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ところがどっこい、今はどうだろう?
好きなことを極め、よりニッチで専門性の高い人が必要とされ始めている。
会社の中で、好きでもない仕事を好きでもない人たちと、「好き嫌いをしない」と我慢しながら何十年も働き続けてきた人たちの収入を、好きを極めた人たちが数年、もっと速い人なら数か月であっという間に追い抜かしていく。
いろいろなことを我慢しながらやってきた人たちが、好きを貫いている人を「かっこいい」と称賛し憧れている。たまに嫉妬すらしている。
完全に「好き嫌いバンザイ」の時代がやってきてしまった。
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好き嫌いをせずにご飯を食べるのは栄養面から大切だ。
人間関係も、できるだけ好き嫌いのない方が様々な価値観の人と触れ合う機会が増える。
勉強科目だって、好き嫌いなくやることで将来の可能性を広げることにつながるだろう。
しかし、仕事に関しては、今の時代、むしろ好き嫌いをはっきりさせないといつまでも「自分は何がやりたいんだろうの沼」から抜け出せずにもがくことになってしまう。
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冒頭でも触れたが、日本人はいたるところで「好き嫌いをしない」教育をしてきた。
わたしも含め、その教育にうまく適合してきた人たち(エリートや優等生やいい子とも言う)にとって、これからの時代は本当に大変だと感じると思う。
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今の世の中はまさに、大草原の中で緊急停止した列車だ。
好き嫌いをはっきりさせ、レールから脱線し、道なき草原の上に新しく自分で線を引きながら進む方を選ぶか、そのレールに乗ったまま運転再開を待ち、再び同じレールの上を走るか。
その選択を迫られている気がしてならない。
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わたしはどうするか。
ブログを書き、筋トレ動画を撮り、読書をし、こっそりと詩集とオラクルカード買い…
0.001歩ずつ「好き嫌いをはっきりさせた脱線」の道を踏み出し始めている。
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2020.04.27 Mon
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