抜かされていく。
自分の想いがあやふやなばかりに。
他の人がどんどん先に進んでいく。
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周りの人たちが、同じようなタイミングで動き出すことがある。
あっちではあの人が、こっちではこの人が、何か打ち合わせをしたかのように、一斉に動き始める時がある。
そんな時、わたしはひどく焦る。
「ああ、置いていかれちゃう!」
どうしよう、みんなに、置いていかれちゃう。
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いつか、マラソンを題材にした保険会社か何かのCMを見た。
一斉にスタートした選手たち。途中まで皆同じ方向に走っていくが、主役の男性が立ち止まる。
次のシーンでは、同じ方向に走っていた選手たちがどんどんと脱線し、自分のゴールに向かって走り出す。
赤ちゃんのいる家族のもとへ、自分の部屋のベッドへ、仲間とともに富士山へ、崖から海にダイビング…
皆、それぞれのゴールに向かって走るのだ。
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周りの人たちが、同じようなタイミングで動き出すことがある。
ある人は複数の仲間で、ある人は家族で、ある人はたった一人で。
見ているだけのあなたは焦るだろう。
「ああ、置いていかれちゃう!」と。
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でも。
誰も、あなたを置いていこうとはしていない。
皆、それぞれの道に行き始めただけなんだ。
一本線の上を皆で歩いたり走ったりしてマラソンや徒競走をしているのではなく、広い面や立体の世界を自由に進んでいるんだ。
誰も、あなたの行く道を止められる人はいないし、立ち止まっていたって何とも思わない。
だって、面や立体の世界だから。どこが先頭かなんてわからないから。
ただ、ずーっと立ち止まっているよりは、歩いたほうが景色は変わるだろう?
人は、新しい景色が観たくて動き出すんだ。
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あなたは、どの方向に背を向け、どこを見て歩いていきたい?
その先に、今までの仲間はいないかもしれない。
けれど、また新しい人が仲間になるかもしれない。
しばらくは一人かもしれない。
でも、きっと誰かと出会えるはず。
だって地球には77億人もいるのだから。
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2020.05.03 Sun 自分との対話の中で。